YouTubeがHDR動画に対応。近い将来PC、テレビ、スマホはHDR対応がデフォに!
今回のお話しはタイトル通りなんですが、
動画サイトのYouTubeによる
HDR（ハイダイナミックレンジ）動画のサポートが始まりました。
YouTube公式ブログの記事です（英語）。
True colors: adding support for HDR videos on YouTube
すでに幾つかの動画がアップされていますね。
The World in HDR
The Redwoods | Shot on Epic-W with HELIUM 8K S35 Sensor HDR
HDR動画とは、簡単にいえば
白飛びや黒つぶれを少なくして、
コントラストの高い動画を
実現してくれるものです。
そうなると、従来では潰れて黒くしか見えなかったものが
よりはっきりと何が映っているのかわかるようになります。
ただし、以下の3つがHDR動画に対応している必要があります。
・ディスプレイ
・ビデオカード
・動画そのもの
対応していなくても、視聴は可能です。
ただし、非HDRの状態となりますが。
実はパソコンのディスプレイも、近い将来は
HDR対応になって行くだろうと予想されています。
Mac Fan2016年2月号では、
「Retinaの次に来るのは高画質ディスプレイ技術『HDR』」
という記事が掲載されていました。
これによると、明るさや暗さを表現する輝度ダイナミックレンジは
長らく8ビット（256段階）のままでした。
人間の眼は最低でも10ビット（1024段階）以上は把握できるため、
これがHDRディスプレイ実現されれば、
より人間の眼に近い表現ができるようになるのです。
そして、ブルーレイの次世代フォーマットである
「ウルトラHDブルーレイ」は、4Kに対応し、さらに
HDR10で10ビットの輝度レンジを実現することで、
高解像度・ハイダイナミックレンジに対応するとのこと。
これに伴い、近い将来ではHDR対応テレビが続々と発売され、
HDR対応が一般的になると見られています。
また、放送コンテンツも、NHKがBBCと連携して
技術開発に力を入れています。
それから、Macユーザーの私たちにとって大事なのは
Macがどうなっていくのかということですね。
実は2013年のMac ProとiMac 5Kから
HDRには本格対応しているんです。
ただし、OSはEl Capitanから、ソフトは
写真とプレビューのみが対応している状態。
一方、ウィンドウズでも7からHDRに対応し、
GPUとディスプレイとの組み合わせで30ビット表示が可能。
つまり、現状をまとめるとこうなります。
・パソコンの新機種はHDRに対応している
・ディスプレイもHDR対応のものが出始めている
・コンテンツは圧倒的に不足している
ただ、現在私たちが使用しているパソコンやディスプレイなどの
多くはHDR非対応です。となると、買い換えが必要になる……。
それから、映像制作を取り巻く環境も刻々と変化していることを
感じたのは、以前私が関わった特撮本を編集しているときでした。
とある映像の視覚効果の仕事をしている方と話をしていたとき、
HDR映像の話になったんですが、あれはやめてほしいと。
というのも、機材は新しくしないといけない、
データはこれまで以上に重くなる、
しかし売上は増えないといった「三重苦」になるからだそうです。
つまり、機材の導入やデータストレージの確保、
PCやソフトのアップグレードなど出ていくお金は増えるのに、
現場の製作費は下がる一方で入ってくるお金は増えないという
状態に陥るのです。
いいことばかりではないのですね……。
他にも、HDRの本を作ったときに写真家の方と
お話ししていたら、4K映像の撮影で海外に行ったとき、
データが重すぎてPCの処理が追いつかなかったと
仰ってました。
つまり、近年ではPCの進化が鈍化してきている反面、
4Kや8Kといった映像撮影の機器は技術革新が速い上に
扱うデータが重くなってきているため、
パソコン回りのソフトや処理速度、コピー速度などが
ついていけてないんですね。
ハード面、ソフト面でもっと進化をしていかないと、
HDR普及には時間がかかりそうです。でも、
HDR化への流れは、今後変わることはないでしょう。
写真のHDRは、以前私が編集、執筆して
本を作りましたのでこの場を借りて再度ご紹介。
（amazon）
HDR&ハイキー／ローキー 撮影・作成テクニック (玄光社MOOK)
こちらも以前私が関わった特撮本です。
日本特撮技術大全
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