徳山 璉 (とくやま たまき/徳山たまき) 随筆集をリリースしました

2020年7月22日

徳山 璉 (とくやま たまき) といえば、
「侍ニッポン」「天国に結ぶ恋」などのヒットを飛ばした歌手で、
戦前・戦時歌謡に詳しい人であれば「オッ」と思うかもしれません。

彼の名前を知らない人でも、『ドリフの大爆笑』のテーマソングや
メガネドラッグCMソングなら聞いたことがあるかもしれません。
実はこれらの曲は替え歌で、元歌は徳山 璉が歌っていたんです。

メガネドラッグCMソング

『ドリフの大爆笑』のテーマソング
https://youtu.be/QMq6v9xHllQ

曲名は「隣組」。昭和15年にリリースされました。
こちらの動画では、本人も出演しています。
ヒゲを生やして歌っているのが徳山 璉です。

ちなみに、この曲を作詞した岡本一平は、
「芸術は爆発だ!」でおなじみの芸術家、
岡本太郎の父親です。

絶大な人気を誇った徳山は、戦時中の昭和17年に
38歳の若さで亡くなってしまいます。
そのため、1970年代に懐メロブームが起こった際には
市丸や東海林太郎、藤山一郎らが戦前、戦中のヒット曲を
テレビの前で歌い、曲を語り継いでいったのに対して、
彼の曲は徐々に忘れられていきました。

また、彼の名前に使われている「璉 (たまき)」という文字も
常用漢字ではなくて、ネットでの表示や変換も難しいため、
なかなか表示や検索が困難であることも、
再評価になかなかつながらない一因にもなっています。
事実、Amazonのタイトルでは「璉」の文字が
一部表示されない箇所があるのが、そのよい例だと思います。

しかし、流行歌、本業としての声楽家、俳優など
多面的な活動をしていた徳山は、エッセイを残していました。
それが『徳山 璉随筆集』です。
これは彼の死後すぐに刊行されたもので、
作家の菊池寛が序文を寄せています。

徳山が日本の歌謡界に与えた影響は大きかったため、
生誕111周年を記念して復刻しました。
随筆集とあって文章はわかりやすく、
専門用語などもほとんど出てきません。

時節柄、満州の話や中国へ行ったときの話、
市丸や勝太郎とのかかわりなど、
当時の風俗や世相、流行などが手を取るように分かります。
また、飼っていた烏が逃げ出して1日中追いかけた話など、
ユーモラスな文章で楽しませてくれます。

復刻版というと、電子書籍では
スキャンした画像をそのまま載せたものが大半で
非常に読みにくいんですね。
というのも、文字の大きさが固定されているので、
ピンチして大きくしても、次のページをめくると
また文字が小さくなってしまう。その繰り返しで
読むのが面倒になってしまうんですね。
さらに、古い本だと文字がかすれていたり、
画像なので文字の検索もできないなど、
作る方にとっては楽だけど買って読む人にとっては
非常に不便であるのが実情です。

しかし、この随筆集では文字をきちんと起こして
縦書きレイアウトにしました。

私はMacユーザーなので、縦書き・リフロー型は調べたところ
Windowsの方が作りやすそうでしたが、試行錯誤の結果、
Macのソフトだけで作ることができました。なかなか便利ですね。

文字の大きさも一度設定すると、ページをめくっても
そのままの大きさが保たれるので非常に読みやすいです。

iPadのKindleビューワーだと、デフォルトはこんな感じです。
ちょっと文字が小さいですね。

画面左上のAaをタップしてから、
赤く囲った部分を何度かタップすると
文字が大きくなります。

こんな感じです。

ゴシック体にも替えられます。

復刻に当たり、口語訳に直し、旧字体や表記も原本を尊重しながら
編集しています。表紙は私がデザインしました。
ちなみに、表紙のレコードは私が所有している
SP盤を使用しています。

巻末には、ディスコグラフィーも可能な限り調べて
掲載しています。

この機会に、徳山 璉の貴重なエッセイ集を
1人でも多くの方に読んでいただき、
魅力を感じていただければ幸いです。

(Amazon)

徳山璉 (とくやま たまき) 随筆集 (翻訳版) 口語訳: 戦前・戦中に活躍、『ドリフの大爆笑』主題歌の元歌「隣組」を歌い、絶大な人気を誇った流行歌手のエッセイ集

(追記)
2017年1月3日、Amazonの売れ筋ランキング「邦楽・民謡」部門で
本書が第14位にランクインしました!

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