ヤフオク!のカセットデッキとラジカセコーナーが「ゴムベルト」だらけになった理由

2018年11月23日

以前、ラジカセの本をつくってから
時々オークションサイトの
カセットデッキやラジカセのコーナーを
見るようになりました。

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しかし、最近の出品物を見てみると……。

ええと、これってカセットデッキとラジカセの
コーナーじゃないんですかねぇ?
ゴムベルトばっかり……。

修理をしたことがある人ならピンとくるかもしれません。
ゴムベルトはカセットテープを再生録音するとき、
モーターの動力を伝えるのに使われています。

経年劣化でゴムベルトが溶けたり、千切れたりするので
交換用のベルトを売っているわけです。
分解して交換すると、生き返るものも結構あるんですよね。
それにしても最近、やけに増えたように思います。

出品者も、出品価格もまちまちですね。
出品者は神奈川県や千葉県、山口県とか。
出品価格は1円だったり、200円だったり……。
商品写真は同じものを使い回している印象です。

なぜこんなにもゴムベルトの出品が多いのでしょうか?

ここには、3つのカラクリがあります。
それは、
1. 中国から格安で商品を仕入れる
2. オークションに安い値段で出品する
3. 高い送料で儲ける

ということ。

1. 中国から格安で商品を仕入れる

ゴムベルトは、中国の大手通販サイト、
アリババでとても安く買うことができます。
「カセットテープ ベルト」とかで検索をかけると
色々出てきますね。

こちらを見てみると、1セットが151円とあります。

これ、送料込みの値段なんですよ。
このうち、送料はなんと27円!

2. オークションに安い値段で出品する

オークションって、レアもの以外は
値段が安くないと入札されにくいのが現状です。
そこで、仕入れたベルトを1円とか100円とかで
出品します。

3. 高い送料で儲ける

結構安いんじゃね、と思って商品ページを見てみると……。
例えばこちらの商品説明では、
なんと送料が「一律1000円」とあります。

そしてこちらは、980円。

こんなゴムベルト、82円の定形郵便で送れるのに。

以前、私が中国から直輸入で購入したゴムベルトです。

茶封筒は、定型郵便で送れる大きさ。

これを見ただけでも、
いかに送料でぼったくっているかが分かると思います。

ここで簡単な計算をしてみましょう。
ゴムベルトが1円で落札されたとき、出品者は
いくら儲かるのでしょうか。

仕入れ値:151円
落札価格:1円
落札手数料:プレミア会員なら商品の8.64%、非プレミア会員なら落札価格の10% → 1円なのでシステム利用料「0円」
落札者が支払う送料:1000円
出品者がかかる送料:82円(実質定形外で送れるので)

1001円から仕入れ値と出品者の送料を引くと、
1001-151-82=768円となります。

ゴムベルト1セット売れると、「768円」の儲けとなります。
これで、ゴムベルトは手軽に小遣い稼ぎができる
商材であることがおわかりいただけたと思います。

商売の基本は「安く仕入れて高く売る」ですが、
個人でこうした商売をするのはやはり売れ残りのリスクがあります。
そのため、手軽に始めるには
・ある程度売れそうな商材である
・仕入れ値が安い
・かさばらない

といったリスクの低いものから扱うのがセオリーです。

というわけで、低いリスクで手軽に
小遣い稼ぎできるんじゃね?
と思う人が増えて、オークションサイトに
ゴムベルトがあふれてしまう、
ということになったのでした。

でも、これだけたくさん出品されているのだから
そうそう簡単には売れないだろ、と
思ってしまうのは私だけでしょうか。

それに、こんなに同じ商品出されても
見ているこちら側(入札者)から
したら邪魔になるだけ。

今後もこうした出品が続くようなら、
ますますヤフオク!の存在価値がなくなり、
人が離れてしまいますねぇ。

ひどいと思ったら運営会社に通報を

もともと、オークションの商品を
送料でぼったくるのは違反です。

2015年3月2日までは
「商品の販売、落札価格に加えて輸送料や手数料などの名目で、社会通念上不適切な金額を追加費用として落札者に求めることを禁止します」
とありました。

2015年3月3日からは
以下の料金以外の料金(システム利用料、消費税、梱包料、手数料、その他等の名目を問いません)を落札者に求めることを禁止します。
(1)落札代金
(2)送料
(3)返品・交換する際の送料および返金手数料
(4)不動産および二輪を含む自動車車体のみ、取得にかかる諸費用および税などの法定費用
落札代金以外の上記の料金は、商品説明に明記してください。
と改定されましたが、
いずれにしても不当に高い送料を取るのは
違反というわけです。

目に余る、と思った人は
商品説明のここをクリック。

すると、違反商品の申告ができます。
申告内容の中から、
「実費を上回る送料、消費税相当額やシステム利用料分の負担などを落札者に求めること」というところをクリックしてから
送信しましょう。すると、運営に連絡が行きます。

そして運営から、「違反商品の申告がありました」と
出品者にメールが行きます。
余りに酷い場合は、
運営によって出品が差し止められる場合もあります。
何もしないよりかは幾分かマシかと。

こういったオークションのカラクリを解説した
電子書籍も出していますので、興味があったら是非。

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